肉をこよなく愛する人の中で特に人気なのが、但馬牛です。
近年は、ふるさと納税の返礼品として用意され、但馬牛の魅力にはまる人が増えています。
では、但馬牛がこれだけの人気を誇っているのはなぜでしょうか。
ぜひ食べたい但馬牛おすすめの部位や、美味しいステーキの焼き方、味わいを堪能できるステーキソースについてもご紹介します。
但馬牛のステーキが美味しい理由
兵庫県で生まれ、肥育されたものだけが「但馬牛」を名乗ることができます。
そして、但馬牛のうち、厳しい基準をクリアしたものだけが、高級ブランドで知られる「神戸牛」として世の中に出されます。
全国の黒毛和牛の血統のベースになっているのも但馬牛で、そのおいしさは折り紙付きです。
但馬牛はステーキで食するのが最もおいしい食べ方とされます。
その理由は、身体的な特徴に秘密があります。
牛肉は肉質などで細かくランク分けされているのは広く知られていますが、但馬牛は優秀な牛の条件をクリアしています。
例えば、但馬牛の四肢の最も細い部分である管の周りは筋肉が発達し、余分な脂肪がついておらず、締まっています。
皮膚が薄くて柔らかく、被毛も細く柔らかく密生しています。
角は断面が丸くてち密で、角の周辺の額の部分は余分な脂肪がついていません。
蹄は大きくて太く、ち密なのが特徴です。これらは、優秀な黒毛和牛の条件とされ、品評会などで評価されるポイントです。
但馬牛はしなやかで細い筋肉が特徴で、きめ細かいサシが入っています。
サシは口に入れると溶け、周りの筋繊維もほどけることで、くちどけの良さを感じられるのが魅力です。
さらに、但馬牛は甘い香り持ち、焼いたときやお肉をほおばるときに強く感じることができます。
なお、この香りを「和牛香」といいます。
和牛香が強い肉として知られるものの一つが松阪牛です。
兵庫県産の子牛を購入し、松阪牛生産地区で育てたものを松阪牛と呼んでおり、但馬牛にルーツがあることは一目瞭然です。
美味しさに欠かせない要素を持ち合わせている但馬牛は、生育環境の良さが知られ、一気にブランド牛としての地位が上がりました。
まず子牛の但馬牛は、但馬の自然の中で育てつつ、管理が行き届いた状態で飼育されます。
但馬地方の牧草は、昼夜の寒暖差の中で発生する朝露を含んで柔らかいことが肉質の良さにつながります。
神戸の六甲山の水は美味しく、ペットボトルで販売されるほどですが、ミネラル分が豊富で、健康的な牛が育つのに役立つのです。
但馬牛のステーキおすすめの部位
但馬牛は、部位ごとにそれぞれの味わいを堪能できるよう、細かく分類して販売されることが多くなっています。
最初に、ステーキで食べたいメインの部位をご紹介します。
これらは、通販などでも部位を指定して買うことができます。
リブロース
リブロースは肩ロースの後方に位置する部位で、厚みがあり霜降りがきめ細かく、旨味・食感・脂の甘味どれをとってもステーキに最適といえます。
なお、牛肉のランク付けは、リブロースの断面と芯の大きさで判定されています。
ステーキのほか、焼き肉やすき焼きなど、いろいろな食べ方ができます。
霜降り肉にこだわる方は、リブロースの中心部分である「リブ芯」を指定して購入するとよいかもしれません。
サーロイン
サーロインは言わずと知れた、牛肉の中でも最高級の肉質を誇る部位です。
リブロースとランプの間に位置する腰側の部分になります。
こちらの部位は、運動量が少なく、筋肉があまりついていません。
そのため、サシがきめ細かく入っています。
やわらかくておいしいだけでなく、霜降り具合の美しさも楽しめます。
ランプ
ランプは腰からおしりにかけての、サーロインとモモに挟まれた部位です。
赤身が多いにも関わらず、肉質がきめ細かく、やわらかい肉質を味わえます。
ステーキの場合はレアで食べるのがおすすめで、焼き肉やローストビーフなどにも向いています。
フィレ
フィレはサーロインとランプの間に挟まれた部位です。
ランプ同様、脂身が少なく、牛肉の中で最も柔らかい部分として知られています。
フィレは、さらに細かく分けて販売されることがあります。
その一つが、テートです。
モモに近い部分の肉で、霜降りはほとんどなく、赤身が中心でいて柔らかく、あっさりした味わいが特徴です。
シャトーブリアンは、フィレの中心部分の肉で、最上級部位として販売されます。
特に運動量が少ない部分で、霜降りもわずかに入り、やわらかさを楽しめます。
ミニョンはフィレの頭側の部位で、霜降りが入りやすくなっています。
厚めのステーキで食べると絶品です。サイドマッスルは、フィレの側面を覆っているひも状の部位で、ハラミに似た味わいが特徴です。
希少部位もおすすめ
いろいろなブランド牛を堪能してきた方であれば、希少部位にもトライしたいものです。
今まで但馬牛を何度か食べた方におすすめの、あまり知られていない部位をご紹介します。
希望しても手に入らないことがあるため、見つけたらぜひとも購入したい部位になります。
イチボ
イチボはおしりの周りのやわらかい部位です。
先に紹介したランプよりもサシが多めで、脂の甘味とともに肉の奥深さを感じる赤身の旨味が特徴です。
やわらかさの中にも歯ごたえが感じられる独特の食感が魅力です。
ランプと同じように、ステーキのほか、焼き肉やローストビーフ向けの肉といえますが、脂の旨味を感じられるローストビーフをつくる場合は、イチボの方がおすすめです。
ヒウチ
ヒウチは、牛の後ろ足の上部に位置するシンタマの中でも、内ももの奥にある部位になります。
ヒウチというネーミングは、火打石の形状に近いことからつけられたようです。
モモ肉の中でも霜降りが多いことで知られ、脂のコクとともにジューシーさが感じられます。
焼肉で食べるのが一般的ですが、ステーキで食す場合は塩コショウで、肉本来のうまみを味わう食べ方を試してみてください。
但馬牛で味わいたい部位をご紹介しましたが、その中でも特におすすめなのが、フィレです。
一頭からわずか3パーセントしかとることができない貴重な部位で、脂身が少なく上品な味は幅広い年齢層に人気があります。
但馬牛のステーキの美味しい焼き方
香り高く味わい深い但馬牛は、ステーキにして食べるのがおすすめです。
こちらでは、但馬牛の美味しい焼き方を、準備から仕上げのコツに至るまでご紹介します。
準備
ステーキを美味しく焼くには、肉の表面を焦がして肉汁を閉じ込め、肉の中の温度を適温にすることが重要。
そのために必要なアイテムが、厚手のフライパンです。
薄手のフライパンだと、肉をのせたときに温度が急激に下がってしまい、但馬牛の美味しさを生かすことができません。
さらに、肉の美味しさを引き立てる岩塩や、肉の臭みを消す黒コショウを用意するとよいでしょう。
焼き方
お肉は、冷蔵庫などからいきなり出して焼くのではなく、常温に近い状態に戻し、焼く前に塩コショウを軽くふっておきます。
フライパンは煙が少し出るくらいまで熱してから油をひき、静かにお肉をのせます。
熱したフライパンから飛び散った油でやけどをしないよう、手前側からゆっくりと肉を置いていきましょう。
肉を置いたら中火にし、なるべくお肉を動かさないようにします。
肉の下3分の1程度が焼けてきたら静かにひっくり返し、アルミ箔でふたをします。
これが水分が逃さず、ふっくらとした仕上がりにするコツです。
ひっくり返したら弱火と中火の間くらいの火で2分ほど焼きます。
既定の時間焼いたら、アルミ箔ごと取り出して10分程度休ませてから切ります。
休ませると、カットしたときにうまみ成分が流れてしまうのを防ぎます。
なお、焼きの最後の工程で、赤ワインを少量ふりかけて焼くと、香りの良さが際立ちます。
盛り付け方を工夫しておいしさをキープ
持っている方はステーキ皿を使うと、熱々をキープして食べることができます。
ステーキ皿がない場合は、あらかじめステーキをのせるお皿を温めておくだけでも、おいしさを長持ちさせます。
但馬牛のステーキに合わせたいソースは?
但馬牛のステーキは、塩・コショウといったシンプルな味付けでも堪能できますが、ソースを使うとバラエティーに富んだ味わいが楽しめます。
但馬牛に向けた特製ソースも売られていますが、焼きたてのステーキに作りたてのソースをかけるのも美味です。
では、但馬牛ステーキにはどんなソースが合うのでしょうか。
簡単にアレンジできて、かつ但馬牛の旨味を最大限に引き出せるソースをご紹介します。
赤ワインソース
赤ワインと言えば、肉料理の鉄板ともいえる飲み物ですが、ソースに加えると、肉の美味しさが引き立ちます。
赤ワインソースは、ステーキを焼いた後のフライパンにみじん切りの玉ねぎを入れて炒め、透き通ってきたら赤ワインを加えて強火で煮立てて作ります。
バターと塩コショウで味を調えます。
シャリアピンソース
シャリアピンソースは絶品といわれる但馬牛の脂が少ないフィレに適しているソースです。
醤油と塩で味付けするので、さっぱりと食べたい時に便利です。
シャリアピンソースは、フライパンにサラダ油を熱し、すりおろした玉ねぎとニンニクに加え、薄切りの玉ねぎも合わせて炒めます。
しんなりしたところで味付けし、中火で煮立てると出来上がりです。
特におすすめなのはデミグラスソース
ステーキを語るうえで忘れてはならないのが、デミグラスソースです。
ステーキ専門店では、香味野菜と鶏ガラ・牛すじなどを焼き、2週間程度煮込んで作る本格的なものを用意するほどで、ステーキにベストマッチといえるソースです。
デミグラスソースは有名店などで購入できますが、お店の味に近いソースは30分程度で作れるので、ステーキを焼く前に用意しておきましょう。
デミグラスソースは、玉ねぎの薄切りや牛肉の細切りを炒め、水を加えて沸騰したら灰汁をとりながらしばらく煮込み、その後、火を止めてビーフシチューの素を入れます。
再び火をつけてからとろみがつくまで煮込み、ウスターソースを加えると出来上がりです。玉ねぎを多めにして十分炒めてから牛肉の細切りを加えるのがポイントです。
但馬牛ステーキのおいしさを堪能するには
但馬牛のステーキを自宅で楽むコツや、おすすめの焼き方や部位をご紹介しました。
日本の黒毛和牛のルーツで、高級ブランド・神戸牛を生み出した但馬牛。
甘味を感じるサシや食欲をそそる和牛香が特徴で、生産環境の良さが食の安心につながっています。
但馬牛は通販で購入も可能ですので、特別な日のディナーにもおすすめです。
厚手のフライパンで焼き、お肉に焦げ目をつけて肉汁を閉じ込め、塩コショウやデミグラスソースで但馬牛のステーキを堪能されてみてはいかがでしょうか。