“日本のラピュタ”と例えられるのは、朝来市の観光名所「国史跡竹田城跡」。
実は朝来市にはもう一箇所、「天空の城ラピュタ」の世界観を感じられるスポットがあります。
そこは、生野町にある「史跡生野銀山」。
ぜひ竹田城跡訪問と同じ日に訪れてほしい場所です。
なぜなら、「史跡生野銀山」はラピュタ序盤に登場する炭鉱シーンを彷彿させる場所だから。
竹田城跡の見晴らしのいい景色から一変、「史跡生野銀山」では閉ざされた地下の暗い坑道を歩きます。
歴史ロマンにふれながら探検気分も味わえるのが大きな魅力。また、ペットを連れて入場できるのもうれしいポイントです。
それではさっそく「史跡生野銀山」(以下、生野銀山)の3つの見どころを紹介していきましょう。
約1200年の歴史とロマンにふれられる生野銀山
生野銀山は、朝来市が「但馬(たじま)国)」として開かれていた戦国時代から近代にかけて栄えた、約1200年の歴史を誇る日本有数の鉱山です。
主な産物は銀、銅、錫(すず)。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の治める幕府の直轄鉱山として、その財政を支えました。
最盛期は、江戸幕府第8代将軍・徳川吉宗の頃。ひと月に約562kgもの銀を算出したとの記録が、当時の文献に残されています。
明治元年には、日本初の政府直轄の官営鉱山としてオープン。
当時の最新技術が投入され、多量の鉱石を産出し、日本経済の礎を築き、近代化の黎明期を支えました。
その後三菱系企業の所有を経て、昭和48年(1973年)に閉山。銀山としての役目に幕を下ろしました。
その後、閉山翌年の昭和49年(1974年)には観光施設としてオープン。1200年に渡った栄枯盛衰の姿を、今もなお静かに、訪れる人々に伝え続けています。
日本遺産の構成文化財のひとつ
生野銀山は、2017年4月に認定された日本遺産「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」の構成文化財のひとつです。
「銀の馬車道 鉱石の道」とは、生野鉱山から産出した銀などの鉱物が馬車や人力により姫路・飾磨港まで運搬された道です。養父市・朝来市・市川町・福崎町・姫路市の5市町村をまたぐその距離は、約73km。
資源大国だった頃のかつての施設が今もなお現存し、その記憶をたどることができます。
◆日本遺産とは “文化庁では、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援します。” 出典:日本遺産ポータルサイト
生野銀山を堪能!3つの見どころ
生野銀山は歴史を学べるのはもちろんのこと、テーマパークに訪れたような気分も楽しめる観光スポットです。
中でも気軽な観光としておすすめするのが、「坑道内コース」「坑道外コース」「シルバーアクセサリー体験」の3つ。
坑道内外で歴史とロマンを体感する「観光」と、シルバーアクセサリー体験で当時掘り出されたであろう純銀粘土を使って小物を手作りする「体験」、どちらも堪能できるプランをご紹介します。
1.探険気分を味わう、坑道内コース
生野銀山いちばんの見どころが、薄暗い坑道トンネルが醸す重厚な雰囲気です。
全長は約1,000メートル。坑道内の気温は年間を通じて約13度。随所にあるオレンジ色の灯りが見学者を坑道内へ誘い、また印象的に岩肌を照らします。肌寒くかつ高い湿度を感じる空間に、探検気分と程よい緊張感で気分が高揚します。
坑道内コースは、近代坑道・金香瀬坑と江戸時代の旧坑道の2種類で構成。それぞれのコースで時代に応じた作業服を着た人形が当時をリアルに再現。鉱夫の息づかいが聞こえてくるようです。
またラピュタの世界観をより身近に感じたい方は、近代坑道にある捲揚(まきあげ)ドラムのある捲揚室をお見逃しなく。
鉱夫たちが地中深くの作業場に降りていくための「エレベーター立坑(たてこう)」を操作する場所です。
ラピュタでは、主人公パズーが親方の代わりに急遽捲揚ドラムを操縦していました。
また旧坑道の見どころは、重々しく残るノミの掘り跡を、電動人形を使用しながら当時の坑内作業を再現した展示。人ひとりがようやく通れるほどの細い道に、当時の過酷さが容易に想像できます。
他にも、当時の鉱夫たちを、地下アイドル「GINZAN BOYS(銀山ボーイズ)」として紹介しているのがとてもユニーク。
真面目な表情と一人ひとり添えられているコメントとのギャップに、思わずクスリとさせられます。
2.四季折々の風景も楽しめる、坑道外コース
坑道外コースは、生野銀山の歴史を外から楽しめるコースです。所要時間は、往復約30分。
近代坑道・金香瀬坑入口横にある石段を上っていくと、坑道とつながる複数の抗口(こうぐち)を見学できます。
他にも徳川時代の採掘跡が3箇所見られ、突如現れる岩穴には鉱夫の気配を感じられることでしょう。
また山道を約600mほど歩くと、生野町指定文化財に登録されている「露天堀り跡」が見られます。
正しい名称は「金香瀬旧露頭群跡(慶寿ひ)」。
地表に現れた銀の鉱脈を、地中へ掘り進み採掘した跡なんです。
史跡とともに堪能してほしいのが、四季折々の風景。
春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節によって見せる表情が多彩で、飽きることがありません。
3.旅の思い出に!シルバーアクセサリー体験
生野銀山では、純銀粘土を使ったシルバーアクセサリー作成の体験ができるショップが併設されています。
観光の思い出に、世界にひとつだけのオリジナルアクセサリーを作りませんか?
指輪をはじめ、ネックレス、ピアス・イヤリング、キーホルダーなど、思い思いのデザインのアクセサリーを気軽に作れるのが魅力。スタッフの方が丁寧にサポートしてくれ、安心して作業できます。
ただ、銀細工の乾燥に30分〜1時間ほど必要。
ですので、観光の順番としては入場してすぐ銀細工体験をしてから坑道見学をするのがおすすめです。
各アクセサリーづくりにかかる詳しい所要時間や価格等は、下記サイトをご覧ください。
<ショップ情報> ・店名:銀細工体験工房marie ・住所:朝来市生野町小野33ー5 生野銀山 鉱物館1F ・電話番号:090-6986-7376(完全予約制。前日午前中までに予約が必要) ・定休日:土・日曜日、祝日(※12月~2月は、火・水曜も) ・公式サイト:https://silverwork.amebaownd.com/
生野銀山を観光した後は「生野高原レストランKASSEL」でディナーを!
「生野銀山」は坑道の内外どちらも楽しめる場所。
たくさんの距離を歩くので“探険”の後はお腹もペコペコに。そんな1日の終わりに、優雅な食事を楽しみませんか?
「生野銀山」より東に向かって車で約16分の場所にある
「生野高原レストランKASSEL(カッセル)」は
但馬地方の上質な素材を良さを十分に引き出した腕利きシェフによるお料理が自慢のレストラン。
ゆったりとした音楽が流れる上品で落ち着いた空間で、とっておきのひとときを体験してください。
生野銀山で、歴史のロマンを感じよう
日本遺産にも認定されている「史跡生野銀山」の見どころをご紹介しました。
大人から子ども、ペットも一緒に楽しめる観光スポット。ラピュタがお好きな方ならその世界観も含めて堪能できます。
四季折々の美しい風景は心を穏やかにし、訪れる度に違う魅力を発見できる場所です。
ぜひ遊びに行ってみてください。
<施設の基本情報> ・名称:史跡 生野銀山 ・住所:兵庫県朝来市生野町小野33-5 ・TEL:079-679-2010 ・入場料:大人1,000円、中高生600円、小学生400円、小学生未満無料 ・営業時間:4〜10月/9:10~17:20(※16:40)、11月/9:10~16:50(※16:10)、12〜2月/9:40~16:20(※15:40)、3月/9:40~16:50(※16:10) (※の時間は受付終了時間) ・定休日:12月〜2月の3ヶ月間のみ毎週火曜日(※火曜日が祝日の場合は翌日が休み) ・公式サイト:http://www.ikuno-ginzan.co.jp/